遠州流茶道を学び始めました。
「本格的な茶会に参加したら、最後に和歌を詠むことを求められる」という話を聞いたことがあります。
茶道と歌道って繋がっているんだなあと思い、
ずっと茶道を教わってみたい気持ちがありました。
すると、たまたま、友人が近くのお寺での茶道教室との縁を繋いでくれたことから、教わり始めました。
しかも、遠州流茶道という、最も歌道と関わりがある流派!
(と言っても過言ではないはず)
というのも、遠州流を作った小堀遠州は歌人としても有名な方なんです。
なんと勅撰集にご自身が詠んだ和歌が選ばれていたり(歌人にとって最高に名誉なことです!!)、和歌史において重要な後水尾天皇のサロンでリーダー的な存在だったとか。
さて、小堀遠州関連の本や、遠州流のHPに掲載されております茶訓(茶道の心得)の中に、「小堀遠州 書捨の文」というものがございます。
「書き捨て」とは、「わかったら捨ててしまいなさい」という意味だそうです。
(あるいは「走り書き」という意味もあるので謙遜の意かもしれません)
遠州流の行事でしばしば、こちらを唱和する機会があると、
家元のブログに書いてありました♪
そこで、自分なりに意訳してみました☆彡
太字が原文です。
そもそも茶道と言っても、(人として普通に大事なことの)他には(大事なこと)は無く、
夫れ茶の湯の道とても外にはなく
君主に忠義を、父親に孝行を尽くし、
君父に忠孝を尽し
自身の稼業を怠けることなく、
家々の業を懈怠せず
特に友人との交流を失ってはいけない。
殊には朋友の交を失う事なかれ
春は霞(かすみ)
春は霞、
夏は青葉に隠れているホトトギス
夏は青葉がくれの郭公
秋はいっそう寂しさがまさる夕焼け空
秋はいとゞ淋しさまさる夕の空、
冬は雪の日の夜明け前
冬は雪の曉
どれも茶会の風情(ふぜい)であるよ。
いづれも茶の湯の風情ぞかし
道具といっても、これといって珍しい器に限ってはいけない、
道具とても、さして珍器によるべからず、
名器といっても、(他とたいして)異なることもなく
名物とても異りたる事もなく
古い道具といっても、その当時は新しかった。
古き道具とてもその昔は新し
先達から伝承されている道具だけが名器だよ。
唯先達より伝りたる道具こそ名物ぞかし
古い道具といっても形が下品であれば(茶会には)用いない
旧きとても形いやしきは用いず
新しい道具といっても形が悪くなければ捨ててはいけない
新しきとても形よろしきは捨つべからず
(他人が所持している道具の)数が多いことを羨まず、
数多きをうらやまず、
(自分が所持している道具の数が)少ないことを嫌に思わない(のが良い)。
少きをいとはず
最高の道具であっても何度も話題にして盛んに褒めてこそ、子孫に伝承する道筋ができるはずだ。
一品の道具なりとも幾度ももてはやしてこそ、子孫に伝ふる道もあるべし
料理を勧めるにおいても、相手への誠意を厚く(しなさい)。
一飯をすゝむるにも志を厚く
(料理が)美味であっても、相手への誠意が薄い時は、(たとえ美味しいものの代表である)早瀬の鮎や水底の鯉であっても、おいしく味わうことはできない。
多味なりとも志うすき時は早瀬の鮎、水底の鯉とても味もあるべからず
垣根におりた露、山道のつるくさ、明けても暮れても来ない人を待ち、松の葉に風が吹き抜ける折の音のような湯釜が煮える音を絶やしてはいけない。
籬の露、山路の蔦かずら、明暮れてこぬ人を 松の葉風の釜のにえる音たゆる事なかれ
(補足1)「茶の湯」は〈➊茶会➋茶道〉の2つの意味があります。
遠州が意味したのはどちらだろう…と思いを馳せながら訳しました。
(補足2)春夏秋冬の景物は、和歌などでもよく挙げられる代表的なものです。
『枕草子』冒頭の「春はあけぼの~」ともリンクしますね!
(補足3)「籬の露、山路の蔦かずら」は湯音と同じく絶やしてはいけないものなのか、
それとも「明暮れて」を導く語なのか不明です。
御存じの方が見て下さっていましたら、コメントしていただけますと幸いでございます。
(補足4)「こぬ人を 松」は「待つ」との掛詞ですね♪
百人一首にも「来ぬ人をまつほの浦の~」とありますね!
(補足5)松の葉に風が吹き抜ける折の音は、古文では琴の音になぞらられることが多くあります。
湯釜が煮える音について、茶道の先生が「音のごちそう」と仰っていました。
音を自然の音ともなぞらえて楽しむ感性、とっても素敵ですよね。
いかがでしたでしょうか。
皆さまの琴線に触れる言葉はございましたか?
私は「
春は霞~」といった景物はお茶室には入りきらないダイナミックなものなので、
茶道というのはお茶室の外の空気も全て味わい・味わっていただくものなのかなあと
奥深さを感じました☆彡
最後に、私が茶道を始めることを決めた際に詠んだ歌をご紹介します。
茶の道を
先行く友の
うるわしき
所作に惹かれて
我も歩まん
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
今日も一日、あなたがイキイキと生きられることをお祈り申し上げます✨