ドラマ(マンガ、アニメ、映画)『ちやはふる』をもっと楽しむ和歌
7月9日からドラマ「ちはやふる」が始まります♪
そこで、これまで(主に映画)『ちはやふる』のなかで特にキーとなった和歌をご紹介します♪
百人一首の解説をしているサイトは山ほどあるので、
ここでは「訳うた(オリジナルの57577での訳)」を楽しんでいただければ幸いです。
「ちはや」から始まる和歌♪
目次
- 17.千早ぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは(在原業平朝臣)
- 77.瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ(崇徳院)
- 34.誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに(藤原興風)
- 74.憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを(源俊頼朝臣)
- 24.このたびは幣も取りあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに(菅家)
- 4.田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ(山部赤人)
- 66.もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし(前大僧正行尊)
- 35.人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける(紀貫之)
- 40.忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで(平兼盛)
- 難波津に咲くやこの花冬ごもり 今を春辺と咲くやこの花 王仁
- もっと学びたい方へ
17.千早ぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは(在原業平朝臣)
神代も聞かず
竜田川
からくれなゐに
水くくるとは
聞かない不思議。
竜田川が
紅色に
水を染めてる。
意訳:(不思議なことが起きたという)神代(の話)でも聞いたことがない。竜田川で(紅葉で)鮮やかな紅色に水をしぼり染めにするとは。
☆「水くくる」は「水をくくり染め(しぼり染め)する」の意味。
☆映画の中では、かなちゃんが「作者の在原業平が贈った、激しい恋の歌」と言っていました♪
在原業平といえば『伊勢物語』の主人公だとされる人物で、かなりのプレイボールとして知られています。
離れ離れになっても「再開」を信じる和歌♪
77.瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ(崇徳院)
岩にせかるる
滝川の
われても末に
逢はむとぞ思ふ
別れた川が
一つへと
合わさるように
また結ばれよう!
意訳:川瀬の流れが早いので、岩にせき止められる滝のような川の水が(いったんは砕け分かれても、)合流するように、(あの人との仲を裂かれて逢えずにいても、行く末は)逢って結ばれようと思う。
☆『ちはやふる 上の句』の冒頭で千早が「たーいち!瀬を早みだね」「これは運命という歌」といって太一をかるた部に勧誘します♪
離れ離れになっても、また会えるよねって歌です💕私はマンガ『ちはやふる』でこの和歌が大好きになりました。
34.誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに(藤原興風)
知る人にせむ
高砂の
松も昔の友
ならなくに
松は長寿だ。
旧友も
長く生きてて
欲しかったなぁ。
意訳:(いったい)誰を(昔からお互いを)知る友だとみなしたらよいのだろうか。(長生きで有名な)高砂の松も(人間ではないから)昔からの友というわけではないしなあ。
☆『ちはやふる 上の句』で千早が「〈昔の友だちは、もういない〉って意味なんだって」と悲しげに言っていました。
「決まり字」をゴロで覚えるので有名な和歌♪
74.憂かりける人を初瀬の山おろしよ 激しかれとは祈らぬものを(源俊頼朝臣)
人を初瀬の
山おろしよ
激しかれとは
祈らぬものを
祈りはしたが、
山風の
ように冷たく
とは祈ってない!
意訳:つれなかったあの人を(どうか私になびかせてくださいと初瀬の観音様に)祈ったけれども、初瀬の山から(冷たく)吹き下ろす風よ、(おまえのようにあの人が私に冷たくあたれとは)祈らなかったのになあ。
☆競技カルタで「決まり字」から「うっかりハゲ」として知られる歌。(上の句「うかり」を聞いて取り札「はげ」を探す)
私も小学校の時に「うっかりハゲ」で教わって爆笑しました。
神頼みしたいときに思い出したい和歌♪
24.このたびは幣も取りあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに(菅家)
幣も取りあへず
手向山
紅葉の錦
神のまにまに
錦が見劣り
するほどだ。
紅葉の錦を
神様どうぞ。
意訳:この度の旅は、お供え物も持たずに向かいました。(さしあたって、この)錦のように美しい紅葉(の絨毯)を神様の意のままに(お受け取り下さい)。
☆学問の神様として知られる菅原道真の歌です。太宰府天満宮で祀られています。
☆『ちはやふる』の名場面、原田先生の「青春かけてから言いなさい」の場面で引用されていました。
富士山を見た時に思い出したい和歌♪
4.田子の浦にうち出でて見れば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ(山部赤人)
うち出でて見れば
白妙の
富士の高嶺に
雪は降りつつ
海岸に立ち
富士山を
見上げてみると
雪が降ってる
意訳:田子の浦〔=富士川河口付近の海岸〕を通って(広い所に)出て(はるか遠くを)見ると、真っ白な富士の高い頂上に、雪が降り続けていることよ。
☆距離的にかなり離れているので、雪が「積もった」状態しか見えない。「降っている」は想像。もし本当に見えていたら、想像を絶する視力ですw
☆映画『ちはやふる』でかなちゃんが太一に解説し、後に二人とも、この札を取ってアイコンタクトしていました♪
孤独な歌?!絆を感じる歌?!
66.もろともにあはれと思え山桜 花よりほかに知る人もなし(前大僧正行尊)
あはれと思え
山桜
花よりほかに
知る人もなし
懐かしもうよ、
山桜。
君しか我の
心を知らず。
意訳:(私と)一緒にしみじみとなつかしく思ってくれ、山桜よ。(こんな山奥では)花のおまえの他に、(私の心を)知る人もいないのだ。
☆孤独な修行に打ち込む作者が詠んだ歌です。
☆一般的には孤独の歌を言われていますが、『ちはやふる』の千早は「絆を感じる」って言っていました。
そういう解釈、大好きです。花を誰かと見立ててるのだと考えたら、ものすごい絆の歌ですね。
変わらない故郷に安心した際に思い出したい和歌♪
35.人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける(紀貫之)
心も知らず
ふるさとは
花ぞ昔の
香に匂ひける
心の変化は
知らないが、
梅の香りは
昔と同じ。
意訳:人は、さあ、どうだか、(その)心の内は(昔のままかどうか)わかりません。(けれども、)故郷では、(梅の)花が昔と変わらない香りで咲いているなあ。
☆映画「ちはやふる」下の句で、新(あらた)のおじいちゃんが言っていた歌ですね。
秘密の恋の和歌♪
40.忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで(平兼盛)
色に出でにけり
わが恋は
ものや思ふと
人の問ふまで
出てたのかしら?!
友人に
聞かれちゃったよ。
「恋をしてるの?」
意訳:隠していたのだけれど、顔色に出てしまった(みたいだ)なあ、私の恋は。「(何か)もの思いでもしているのですか」と人が尋ねるほどに。
春を喜ぶ和歌♪
難波津に咲くやこの花冬ごもり 今を春辺と咲くやこの花 王仁
咲くやこの花
冬ごもり
今を春辺と
咲くやこの花
王仁
入り江で冬眠
していたが、
「今は春だ!」と
咲くよ。この花。
意訳:難波津に咲くよ、この(梅の)花が。冬ごもり(をしていたけれど)、今はもう春だと、咲くよ、この花が。
☆作者の王仁は百済から渡来した学者で、仁徳天皇の治世の繁栄を願って詠みました。
☆百人一首の試合の最初に朗詠されています。
元々は「今は春べと」なのですが、決まり字の「いまは」との混同を回避するため、四句は「今“を”春べと」に変更されています。
もっと学びたい方へ
『、めちゃめちゃオススメです!! 』
マンガの名場面も引用してくれているし、
古典オタクのかなちゃんの解説にキュンキュンします💕