百人一首37番 白露に風の吹きしく秋の野は つらぬきとめぬ玉ぞ散りける(文屋朝康)

秋に朝露・夜露を見かけたときや、秋風に吹かれたときに、思い出したい和歌です。

白露しらつゆ
風の吹きしく
秋の野は
つらぬきとめぬ
玉ぞ散りける

現代語訳

(草の葉の上で)光って白く見える露に、風がしきりと吹きつける秋の野原では、糸で貫きとめていない真珠(のような露が)が(風で)散り去ってゆくなあ。

要するに抽象化すると

真珠みたいな 白露が 秋風で散る

古典文法・古文単語解説

白露
光って白く見える露。露は秋の季語。

(風)の
主格の格助詞(~が)

吹きしく【吹き頻く】
しきりに吹く・激しく吹く

(とめ)ぬ
打消しの助動詞「ず」の連体形


ここでは真珠(にたとえられた白露)。文脈によっては宝石・美しい石。

(玉)ぞ
強調の係助詞。「係り結び」で文末は連体形になる。

ける
詠嘆の助動詞「けり」の連体形

31音(おん)口語訳

秋風で
露が舞い散る
のはまるで
  
ネックレスから
逃げてくパール

和歌を味わう

一年間を二十四に分けた二十四にじゅうし節気せっきというものがあります。
それぞれ365日間÷24≒約15日間です。
有名なのは「立春」「春分」「立夏」「夏至」「立秋」「春分」「立冬」「冬至」など。
それぞれ、ピンポイントで「この日が○○」ともいうし、約15日間を「○○」とも言います。

例えば令和6年(2024年)だと
「秋分の日」は9月22日で、
「秋分」は9月22日~10月7日の16日間です。

その中の「秋分」の1つ前の「二十四節気」が「白露(はくろ)」です。
令和6年(2024年)だと
「白露」は9月7日~9月21日の15日間です。

なぜこの時期が「白露」かと言うと、昼間はまだ暑くても、昼と夜の寒暖差が広がり、
夜中には大気が冷えて草の葉に夜露や朝露がつく季節なんです。

本当は露が「つく」と言うと粋(イキ)な言い方ではありません。
現代だと「露が降りる」、
古文だと「露を置く」「露を結ぶ」と言います。

この歌では真珠に見立てられた露が「結ぶ」状態だったので、
ネックレスや数珠のようにパールが糸で連なっている(結ばれている)のをイメージすると良いと思います♪

(夜露や朝露を見たことが無い方は、
雨上がりに水滴が付いている葉っぱを想像すると良いですよ。)

秋風が強すぎで、「つらぬきとめぬ(糸で貫きとめていない)」状態になった瞬間を読んでいるのが素敵です。

(NHK大河ドラマ「光る君へ」を見ている方は、出家後の花山天皇が呪詛中に数珠がバラバラになって慌てる場面が印象的だったと思います。
本郷奏多くんの演技、本当に良かったですね)

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

今日も一日、あなたがイキイキと生きられることをお祈り申し上げます✨

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