翻訳教室

 古文の勉強はある意味、語学学習だなと思っております。文法を理解して、単語を覚えて、読解演習をしますよね。(英作文にあたる古文作文やヒアリングの試験はありませんけど笑)

 ということは、「現代語訳」は「英文和訳」に当たるわけだから、良い現代語訳に作れるようにするには、翻訳家さんの本を読んでみるのもいいかも!と思って、『翻訳教室』(ちくま文庫、鴻巣友季子著)を読んでみました。

いくつか琴線に触れた名言をご紹介します!

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翻訳というのは、他言語を自分たちの言葉に移すこと、書き換えることだと思われているでしょう。もちろん、翻訳とは最終的には「書くこと」です。しかし翻訳するには、まず原文(他言語で書かれた文章)をよく読まなくてはなりません。訳者というのは、まず読者なのです。翻訳というのは、「深い読書」のことです。

そうそう!古文でもそう!古文常識を学んで古文の世界を深く理解した上で、しっかりと頭にイメージを描きながら読むことが、現代語訳のスタートです。

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翻訳というのは、「英文和訳」をこなれた日本語に書きなおしたものではないのです。(略)そもそも翻訳と英文和訳は、成り立ちも目的も働きもちがう別物なのです。

古文もそうでしょうね!過去問解説の「現代語訳」を読んでも受験生が「意味がわからない」となってしまうことが多々あります。

親切な本だと、省略されたことを括弧書きで補足してくれていますが、主語以外の補足が疎かな訳を見かけます。そんな時、訳した人自身も理解していないのでは?と疑っちゃいます。

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英語というか外国語は、すごく精密に読むことも大事だけど、一冊の本を通一して読むときには、わからない単語はちょっと飛ばしても、どんどん読み進んでみるということも、大事だからね。この単語はなんだろう、この「for」がわからない。あの「at」がわからないと言って、立ち止まってばかりいると大きな道すじが見えなくなってしまうこともあります。先に進んでみると、さっきのわからなかった箇所があっさりわかることもあります。

これも!古文にもピッタリ当てはまります。例えば主語!「コレって誰のセリフ?」という疑問を抱いた時、文末を読むとはっきりわかることがあります。

特に説話や漢文の評論文では、こだわり過ぎずに読み進めていって、(あるいはいきなり終盤をチェックして、)オチや教訓を理解してから再度読むと理解しやすいですよ。

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みなさんに言っておきたいのは、原文に忠実で的確な翻訳を目指すのであれば、むしろより能動的に読む必要があるということです。受動的(機械)な言葉の置き換えに終始しているかぎり、原文の核心には手が届きません。

そうそう!機械的な言い換えだと、ピントが外れることありますよね。

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辞書にはたくさんの言葉が載っていますが、辞書の語義はたんなる言葉のドアにすぎないと思ってください。ただのとっかかりです。それらは、あなたの頭のなかにある言葉たちを揺り起こして、外につれだすためのものなんです。

これー!まさにコレコレ!古語辞典にある表現よりも、それを噛み砕いて別の表現にした方が的確なことがあるんですよね古文単語帳に載っていた訳を機械的に当てはめると文脈に合わないってことが、東大古文の記述問題でも時々あります♫

あとがき

この講座は「きれいな訳文」「こなれた訳文」を書くことを目的とした講座ではありません。コースの最初に言ったとおり、「的確に読む」ことが第一目標です。良く読めれば、良く訳せる、この一言に尽きます。よく「過剰な主語や代名詞を省けば、日本語として読みやすくなる」などと言われますが、そうではありません。逆です。「的確な読解ができれば、不要な主語や代名詞は自然と落ちていく」「その結果、読みやすい訳文になる」ということです。また、本講座は〝てにをは〟を少し変えただけで、訳文が読みやすくなる!」といったコツの伝授をするものではなく、「的確に読めていれば、〝てにをは〟を間違えることはない」のです。逆にいえば、「訳文の〝てにをは〟がブレている」のは、解釈にあいまいな部分、あるいは誤読が潜んでいる徴候です。この順番を決して間違えないでください。訳文の〝自然さ〟というのは結果として出てくるもので、〝自然さ〟〝読みやすさ〟を目指して進まないでください。まずは、自然な訳より的確な訳を目指してください。

これぞ本質ですね!現代語訳を読めば、よく読めているかどうかはすぐにバレます。(自戒を込めて)

作者の想いをしっかりと受け止めて、読み手の方にお伝えできる訳をしたいものです。



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