【大学受験 対策】百人一首 これだけは 厳選十首

大学入試に向けて、受験生は百首全部を覚える余裕は無いでしょう。
ただ、入試問題には「この設問は百人一首を覚えている人には簡単」というのがたまにあります。
特に和歌の修辞法は、例となる和歌で理解しておくことが重要です。

そこで、大学受験生向けに、「この歌の、これは覚えておいて!」というものをご用意しました☆彡
クイズ形式にしていています。
既に百首を覚えてるよっていう方も、大学受験に必要な知識が十分にあるか、確認のためにご利用ください。

※現在、問5まで作成しました。あと5問も近日中に追加します。

問1 以下の訳の▢▢に当てはまる2文字は?

77 瀬を早み岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ(崇徳院)

訳:川瀬の流れが早い▢▢、岩にせき止められる(滝のような)急流が(いったんは砕け分かれても)合流するように、(あの人との)仲を裂かれて(逢えずにいて)も、(行く末は)逢って結ばれようと思う。

\この歌のココがエモい♡/
「また会おうね」というメッセージの歌なんです♪

\(受験には使えない)訳うた/
邪魔されて
別れた川が
一つへと
合わさるように
また結ばれよう!

答えと解説はこちらをクリック

正答:のでから

解説:「(名詞)を(形容詞の語幹)み」の形で、原因・理由を表します。
※「を」は省略されることもあります。

 ↓ 読み方(歴史的仮名遣いのルールはこちら)

 ↓ 文法説明と現代語訳

・「岩にせかるる」の「せか」は四段動詞「せく」の連体形。
 「せく〔塞く・堰く〕」は〈❶せき止める・妨げる ❷(男女の仲を)邪魔する〉。
 ここでは両方の意味。

・初句から「滝川の」までが比喩的序詞。「~のように」と訳す。

・「われても」の「われ」は下二段動詞「わる」の連用形。
 「わる〔割る・破る〕」は「分かれる・別々になる」。
 ここでは(岩に当たって)水流が分かれることと、男女が別れることの両方をさす。

おまけ問題1 和歌の一部分「光を清み」の訳は? 

おまけ問題2 和歌の一部分「山を高み」の訳は? 

おまけ問題3 和歌の一部分「山深み」の訳は? 

おまけ問題の答え

おまけ問題1 和歌の一部分「光を清み」の訳は? 

正答:光が清いので・光が清く澄んでいるので

 

おまけ問題2 和歌の一部分「山を高み」の訳は? 

正答:山が高いので

 

おまけ問題3 和歌の一部分「山深み」の訳は? 

正答:山が深いので

※このように「(名詞)を(形容詞の語幹)み」の「を」は省略されることもあります。

 

問2 以下の和歌に含まれている掛詞は?

16 立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む(中納言行平)

答えと解説はこちらをクリック

正答:因幡往なば待つ

解説:掛詞を見つけるポイントは「繋がりがおかしい箇所」「不自然な平仮名」「地名」です。
   主要な掛詞は必ず覚えておきましょう。
   (志望校の過去問を分析して、漢字で書く必要があれば漢字で書けるように)

訳:お別れして(私は因幡の国〔≒今の鳥取県〕へ)去っても、その因幡の山の峰に生えている”松”のように、(私を)”待つ”と聞いたなら、すぐに帰ってくるつもりだ。

\この歌のココがエモい♡/
「呼んでくれたら、すぐ行くよ」という頼もしいメッセージ♪

\(受験には使えない)訳うた/
お別れし
因幡に行くが、
「戻って」と
聞いたらすぐに
帰ってこよう。

 ↓ 読み方(歴史的仮名遣いのルールはこちら)

 ↓ 文法説明と現代語訳

・「いなば」は地名「因幡」とナ変動詞「往ぬ」の未然形+接続助詞「ば」の掛詞。
・「まつ」は「松」と「待つ」の掛詞。
・二句目と三句目(いなばの~生ふる)は「まつ」を導く掛詞的序詞です。

・「今」はここでは仮定条件での未来の話なので、「すぐに」。

おまけ問題1 掛詞「あき」は何と何? 

おまけ問題2 掛詞「うき」は何と何? 

おまけ問題3 掛詞「おく」は何と何? ※ヒント:両方とも動詞です。

おまけ問題の答え

おまけ問題1 掛詞「あき」は何と何? 

正答:秋と飽き

※「飽き」は相手の心が離れるという意味で詠まれることが多いです。

 

おまけ問題2 掛詞「うき」は何と何? 

正答:憂きと浮き

※「憂き」は形容詞「憂し」(つらい)の連体形です。

 

おまけ問題3 掛詞「おく」は何と何? ※ヒント:両方とも動詞です。

正答:起くと置く

つゆしもがおりることを「置く」といいます。

 

問3 以下の和歌の▢▢に当てはまる平仮名2文字は?

18 住の江の岸に寄る波▢▢さへや夢の通ひ路人目よくらむ(藤原敏行朝臣)

答えと解説はこちらをクリック

正答:よる

解説:序詞は<①比喩的序詞 ②掛詞的序詞 ③音調的序詞(同音反復による序詞)>の3種類があります。
   この歌は「③音調的序詞(同音反復による序詞)」で有名な歌です。
   訳し方は「~の〇〇ではないが」や「~〇〇という言葉のように」など。

訳:住の江〔≒今の大阪府住吉すみよし区〕の岸に”寄る”波、(その「よる」という言葉の)”夜”の夢の中の通い路でまでも、(あの人は)人目を避けているのだろうか。

※「夢のかよ」は夢の中で男が女のもとに通ってくる道。

\この歌のココがエモい♡/
「夜には来てよ💕」というお誘いのメッセージ♪

\(受験には使えない)訳うた/
夢でさえ
あなたは通って
こないのね。
人目を避けて
いるのでしょうか?

 ↓ 読み方(歴史的仮名遣いのルールはこちら)

 ↓ 文法説明と現代語訳

・「よる」は”寄る”が”夜”を導く音調的序詞。同音反復となっている。
・副助詞「さへ」は「~までも」と訳す添加。元々、漢字では「添へ」。
 ここでは昼はもちろん、夜までも、の意味。
・「夢の通ひ路」は夢の中で男が女のもとに通ってくる道。
 相手が自分のことを想って自分の夢に出ると信じられていた。
・「よく〔避く〕」は「よける・避ける」。

おまけ問題 和歌の修辞法「枕詞」と「序詞」の違う点は? 

おまけ問題の答え

おまけ問題 和歌の修辞法「枕詞」と「序詞」の違う点は? 

正答:①音節
    枕詞は五音節が基本(初句か第三句に用いられていることが多い)
    序詞は七音節以上であることが多い。
   ②特定か否か、慣用的か創作的か
    枕詞は『万葉集』の時代から慣用的に使われてきた語。新しく創作されることはない。
       いくつかの被修飾語が固定的に呼応する。被修飾語は何らかの「共通イメージ」をもっている場合が多い。例)「ひさかたの」→天に関係のある「光」「天(あめ・あま)」「月」「日」「空」「雲」「雨」「都」などにかかる。
    序詞は和歌の内容に応じて創作される。特定の表現ではない。
   ③現代語訳するか否か
    枕詞は現代語訳しない
    序詞は現代語訳する

※「枕詞」と「序詞」の共通点は、ある一つの言葉を導き出すためにある表現技法であることです。

 

問4 以下の和歌の▢▢に当てはまる平仮名2文字は?

39 浅茅生の小野の篠原▢▢ぶれどあまりてなどか人の恋しき(参議等)

答えと解説はこちらをクリック

正答:しの

解説:この歌も「③音調的序詞(同音反復による序詞)」です。
   訳し方は「~の〇〇ではないが」や「~〇〇という言葉のように」など。

訳:茅萱ちがやが生えている小野の篠原しのはら、(その「しの」という言葉のように、)(これまで)忍んで〔≒我慢して隠して〕きたけれども、(今はもう隠しきれず、)度を越えて、どうして(こんなにも)あなたが恋しいのか。

\この歌のココがエモい♡/
「隠しきれないくらい、君が好き」という熱烈な恋の歌♪

\(受験には使えない)訳うた/
堪え忍び
隠して来たが
溢れ出る。
なぜこんなにも
君が恋しい。

 ↓ 読み方(歴史的仮名遣いのルールはこちら)

 ↓ 文法説明と現代語訳

・「しのぶれ」は「”しの”はら」が「”しの”ぶ」を導く音調的序詞。同音反復。

 

問5 以下の和歌に含まれている掛詞は?

28 山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば(源宗于朝臣)

答えと解説はこちらをクリック

正答:離る枯る

解説:掛詞を見つけるポイントは「繋がりがおかしい箇所」「不自然な平仮名」「地名」です。
   主要な掛詞は必ず覚えておきましょう。
   (志望校の過去問を分析して、漢字で書く必要があれば漢字で書けるように)

訳:山里は(都と違って)、特に冬が、寂しさがまさって感じられるなあ。人の訪れも絶え、草も枯れてしまうと思うと。

\この歌のココがエモい♡/
「冬って人恋しくなるよね」と感じる歌♪

\(受験には使えない)訳うた/
山里は
冬に寂しさ
まさるなあ。
人も来ないし
草も枯れちゃう。

 ↓ 読み方(歴史的仮名遣いのルールはこちら)

 ↓ 文法説明と現代語訳

・倒置法になっている歌です。
・「かる」は草木が「枯る」と人の訪れが「離る」の掛詞。

 

 

 

 

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