【旅】の和歌~令和9年(2027年)歌会始のお題「旅」~

令和9年(2027年)歌会始のお題が「旅」だと発表されました。
〆切は9月末です。あなたも詠進してみませんか?
入選したら「歌会始の儀」に呼んでいただけて、
天皇陛下をはじめとした皇室の方々とお会いできるかも?!
(宮内庁HP:詠進要領)https://www.kunaicho.go.jp/event/eishin.html

「旅」という言葉が出てくる和歌はたくさんあります♪
ぜひこの機会に味わってみてください☆彡
「旅」の短歌を詠むヒントになると思います。

※宮内庁の詠進要領によると、お題は「旅(たび)」ですが、歌に詠む場合は「旅」の文字が詠み込まれていればよく、「旅路」「旅籠」「旅愁」のような熟語にしても差し支えないそうです。

「御製・皇室の御歌」二首

旅先に出会ひし子らは語りたる 目見輝かせ未来の夢を 今上天皇

旅先たびさき
出会ひであいし子らは
語りたる
目見まみかがやかせ
未来のゆめ
  今上天皇

訳:旅先で
  出会った子らは
  語ったよ。
  目を輝かせ、
  未来の夢を
※ほぼ同じですが、古文だとどうしてもピンとこない方のために載せています。

意訳:旅先で出会った子どもたちは、目を輝かせながら、未来の夢を語っていました。

★令和7年(2025年)の歌会始、お題「夢」での御製です。こちらのページに詳細な解説があります。

★旅先で出会った人の言葉や表情は、強く心に残ることがあります。
 それを詠んでみるのもいいですね!

をちこちの旅路に会へる人びとの 笑顔を見れば心和みぬ 今上天皇

をちこちの
旅路たびじ会へあえ
人びとの
笑顔を見れば
心和こころなごみぬ
  今上天皇

訳:あちこちの
  旅路で会う
  人々の
  笑顔を見ると
  心なごんだ。

意訳:あちらこちらの旅路で出会った人々の笑顔を見ると、心が和みました。

★令和6年(2024年)の歌会始、お題「和」での御製です。こちらのページに詳細な解説があります。

★「をちこち」は「あちらこちら」という意味の古語です。いろいろな土地を訪ね、人々と出会う「旅」の広がりが感じられます。

★旅の思い出というと、名所や景色を思い浮かべがちですが、出会った人の笑顔がいちばん心に残ることもあります。旅先で心がふっとやわらいだ瞬間を歌にしてみるのもいいですね!

 

「近現代短歌」一首

幾山河こえさりゆかば寂しさの はてなむ國ぞけふも旅ゆく 若山牧水

幾山河いくやまかわ
こえさりゆかば
さびしさの
はてなくに
けふきょうも旅ゆく
  若山牧水わかやまぼくすい

訳:いくつもの
  山を越えたら
  寂しさが
  消えるとこある?!
  今日も旅ゆく

意訳:いくつもの山や川を越え去って行ったら、この寂しさが消え果ててしまうような国〔≒理想郷〕に着くのだろうか。今日も(私は)旅を続けてゆく。

★若山牧水の『海の声』に収められている、近代短歌を代表する旅の歌です。
 牧水の歌が好きな人には俵万智さんの『牧水の恋』がオススメです!

★上田敏が訳したカール・ブッセの詩「山のあなた」を彷彿とさせます。
 ”山のあなたの 空遠く 「さいわい」住むと 人のいふ ~”という風に、人は山の彼方に理想郷を求めてしまいがちなのでしょうね。

★このような「心の旅」を読んでみてもいいですね!

 

「古今・伊勢物語」一首

唐衣着つつなれにし妻しあれば はるばる来ぬる旅をしぞ思ふ 在原業平

唐衣からころも
着つつなれにし
つましあれば
はるばるぬる
たびをしぞおも
  在原業平ありわらのなりひら

訳:着慣れてる
  衣のような
  妻を置いて
  はるばる来た旅
  寂しさつのる

意訳:着慣れた唐衣のように慣れ親しんだ妻が(都に)いるので、はるばる(ここまで)来た旅(の寂しさ)を、しみじみと思う。

★『古今和歌集』巻第九「羇旅歌」に収められた歌で、『伊勢物語』の「東下り」にも出てくる有名な一首です。

★この歌は「かきつばた」を各句の頭に置いた折句としても有名です♪

 らころも
 つつなれにし
 ましあれば
 るばるきぬる
 びをしぞおもふ

★旅先で美しい景色に出会ったとき、故郷や大切な人のことを思い出すことがあります。その「旅先・今ここにいる自分」と「遠く離れた人」をつなげて詠んでみるのもいいですね!

 

「旅」といえば

「旅」という一文字からも、いろいろな言葉が広がっていきます。

まずはこの言葉から連想してみましょう。
電車・空港・夕焼け・潮の匂いのような実際の旅もあれば、進路・結婚・転職・再会のような人生の旅もあります。

歌会始では、特別な体験でなくても大丈夫です。
自分の心に残っている風景や出来事を、「旅」という言葉につなげてみてください。

あなたらしい「旅」の一首を、ぜひ詠進してみませんか?

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