和歌を味わうには、現代語訳も五七五七七が良いと思っています。
5+7+5+7+7=31音です。
和歌は調(しら)べが命。
調べとはリズムのこと。
ぜひ訳うた(オリジナルの31音口語訳)を声に出して読んで、そのあとに元の和歌を声に出して読んでいただければと思います!
歌の意味や情景の理解が深まるはずです。
なお、たった31音にまとめるので、枕詞(まくらことば)や地名などの情報をそぎ落としています。
逆に、背景を知らないと理解しにくい歌には必要な要素を加えています。
また、できるだけ「口語」にした方が若い方にも伝わりやすいと思いまして、くだけた表現(超訳)にしています。
どうが「言葉の乱れ」だと目くじらを立てずに、ご容赦頂ければ幸いです。
各歌の詳しい意味・文法・背景解説は、できたものから順次公開していきます。
下の一覧で、歌にリンクが付いているものは詳細ページがございます。
百人一首100首と訳うた一覧
| 番号 | 歌・作者 | 訳うた |
|---|---|---|
| 1 | 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ |
秋の田を 夜通し守る 仮小屋の 屋根が粗くて 袖にも夜露 |
| 2 | 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山 |
春過ぎて もう夏だよね! 真っ白な シャツが洗って 干されているよ。 |
| 3 | あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む |
独り寝の 夜は長いなぁ。 山に住む 鳥の尻尾の ように長いよ。 |
| 4 | 田子の浦に うち出でて見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ |
静岡の 海岸に立ち 富士山を 見上げてみると 雪が降ってる |
| 5 | 奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき |
山奥の 紅葉の道で 鹿の鳴く 声が聞こえる 秋は悲しい |
| 6 | 鵲の 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける |
七夕の 階段に 霜が降りてる 夜更けになった。 |
| 7 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも |
大空の 彼方を見れば ふるさとで 見ていた月が ここでも見える |
| 8 | わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり |
のどやかな 宇治山暮らしを 人々は 世を憂いての 隠居と見なす |
| 9 | 花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに |
雨を見て ぼーっとしてたら あっけなく 花も私も 色あせちゃった |
| 10 | これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも あふ坂の関 |
これこそが 出会いと別れの 人生の 縮図のような 逢坂の関 |
| 11 | わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟 |
釣り船よ 我は流刑で 漕ぎ出たと 京の人らに 伝えておくれ |
| 12 | 天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ |
風よ吹け。 道を閉ざせよ。 舞姫の 天女を空に 帰らせないよう。 |
| 13 | 筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる |
男女川 下るにつれて この恋も 積もり積もって もう溺れそう |
| 14 | 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに |
あなただよ。 私じゃないわ。 このハートを 乱れ模様に 染めた犯人。 |
| 15 | 君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ |
君のため 邪気を祓える 春の菜を 雪降り続く 野で摘んでいる |
| 16 | 立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む |
お別れし 因幡に行くが、 「戻って」と 聞いたらすぐに 帰ってこよう。 |
| 17 | 千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは |
神話でも 聞かない不思議。 竜田川が 紅色に 水を染めてる。 |
| 18 | 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ |
夢でさえ あなたは通って こないのね。 人目を避けて いるのでしょうか? |
| 19 | 難波潟 短き蘆の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや |
逢わないで 過ごせと言うの?! ごく短い イネ科の蘆の 節の間ほども |
| 20 | わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ |
露見して どうしようもない。 もうままよ! 身が滅ぼうと あなたに逢おう。 |
| 21 | 今来むと いひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな |
すぐ行くと あなたが言った 秋の夜。 夜明けの月が 先に来ちゃった。 |
| 22 | 吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ |
吹くとすぐ 秋の草木が 枯れるから 荒らす山風 嵐と言うのか |
| 23 | 月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど |
月見ると 千の悩みで 鬱になる。 一人にだけ来た 秋じゃないけど。 |
| 24 | このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに |
用意した 錦が見劣り するほどだ。 紅葉の錦を 神様どうぞ。 |
| 25 | 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで 来るよしもがな |
さねかずら 「寝」の字ある蔓 手繰り寄せ 人に知られず 君と会いたい |
| 26 | 小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ |
小倉山の 紅葉よ。心が あるならば、 次の行幸 まで散らないで。 |
| 27 | みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらむ |
いづみ川の ように湧き出た 恋心。 あの方の顔 いつ見たんだろ。 |
| 28 | 山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば |
山里は 冬に寂しさ まさるなあ。 人も来ないし 草も枯れちゃう。 |
| 29 | 心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花 |
テキトーに 折ろうとしても 白菊は 初霜のなか 見分けられない |
| 30 | 有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし |
ふられた日、 夜明けの月も 冷淡で、 未明が一番 嫌いになった。 |
| 31 | 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 |
夜が明けて 輝く吉野に ほの白く 降る白雪は 月光のよう。 |
| 32 | 山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり |
渓流を 緩やかにする 柵は 紅葉散らした 風のいたずら。 |
| 33 | ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ |
春うらら 桜に宿る 妖精は なぜにこんなにも 慌てん坊か |
| 34 | 誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに |
高砂の 松は長寿だ。 旧友も 長く生きてて 欲しかったなぁ。 |
| 35 | 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香に匂ひける |
旧友の 心の変化は 知らないが、 梅の香りは 昔と同じ。 |
| 36 | 夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ |
夏の夜は 日が暮れてすぐ 朝が来た。 月は落ちずに 雲の後ろか。 |
| 37 | 白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける |
秋風で 露が舞い散る のはまるで ネックレスから 逃げてくパール |
| 38 | 忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな |
神様に 誓った愛を 破ったね。 あなたの命 もったいないね。 |
| 39 | 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき |
堪え忍び 隠して来たが 溢れ出る。 なぜこんなにも 君が恋しい。 |
| 40 | 忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで |
顔色に 出てたのかしら?! 友人に 聞かれちゃったよ。 「恋をしてるの?」 |
| 41 | 恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか |
恋してる って私のうわさが あるみたい。 みんなに内緒で 想ってたのに。 |
| 42 | 契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波越さじとは |
覚えてる? 涙ながらに 誓ったね。 心変わりは ありえないって。 |
| 43 | 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり |
付き合った 今と比べりゃ ゼロかもね。 付き合う前の 切なさ、つらさ。 |
| 44 | 逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし |
逢うチャンス ゼロになったら マシかもね。 逢わない君を 恨まずにすむ。 |
| 45 | あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたずらに なりぬべきかな |
「大丈夫?」 だと聞く人は いなさそう。 あなたを慕い 死んでしまいそう。 |
| 46 | 由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋のみちかな |
川中で 梶を落とした 舟のよう。 迷子になった 恋の道だよ。 |
| 47 | 八重むぐら 茂れる宿の 寂しきに 人こそ見えね 秋は来にけり |
雑草が しげる寂しい この宿に、 人は来ないが 秋は来たなぁ。 |
| 48 | 風をいたみ 岩打つ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな |
暴風で 岩打つ波に 似た恋だ。 自分の心 だけが粉々。 |
| 49 | 御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ |
篝火の ような恋情。 夜は燃え、 昼は消え入る ばかりに沈む。 |
| 50 | 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな |
君のため 惜しくなかった 命でも、 長くありたい。 君といるため。 |
| 51 | かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを |
こんなにも 好きだとさえも 言えないよ。 知らないでしょう? 燃える想いを。 |
| 52 | 明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな |
今夜にも 会えるとわかって いるものの、 君と離れる 朝は悲しい。 |
| 53 | 嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る |
夜明けまで あなたを待って 嘆いてる 夜の長さを わかってますか? |
| 54 | 忘れじの ゆく末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな |
きっと無理。 永遠には愛して くれないね。 失う前に 死ぬのがいいわ。 |
| 55 | 滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ |
滝が絶え、 音は長らく 聞けないが、 名声だけは 今も聞こえる。 |
| 56 | あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな |
あの世へと 旅立つ前の 思い出に 一目あなたに お会いしたいわ |
| 57 | めぐり逢ひて 見しやそれとも 分かぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな |
再会し すぐに帰った 友人は 雲に隠れた 月みたいだな |
| 58 | 有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする |
そよと吹く 風の音のよう。 そう、そうよ。 忘れてるのは あなたの方よ。 |
| 59 | やすらはで 寝なましものを さ夜更けて かたぶくまでの 月を見しかな |
躊躇わず、 寝ればよかった。 夜が更けて、 月が沈んで いくまで見てた。 |
| 60 | 大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立 |
遠いから 生野に行かず 踏み入れず。 母からのふみ(=手紙) 見ておりません! |
| 61 | いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に 匂ひぬるかな |
古都である 奈良で咲いてた 八重桜。 きょう、宮中で 咲き誇ってる。 |
| 62 | 夜をこめて 鳥の空音は 謀るとも よに逢坂の 関は許さじ |
鶏真似で 関所を開けた 故事はあるが、 私と逢う関 開けてあげない。 |
| 63 | 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで いふよしもがな |
今はただ 「諦めるよ」と それだけを、 人づてじゃなく、 君に言いたい。 |
| 64 | 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 |
朝靄(あさもや)の 絶え間に見える 宇治川に 仕掛けた網の 魚獲る杭。 |
| 65 | 恨みわび 干さぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ |
つれなさを 恨み泣くさえ 悔しいの。 まして噂に なるの憂鬱。 |
| 66 | もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし |
さあ共に、 懐かしもうよ、 山桜。 君しか我の 心を知らず。 |
| 67 | 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそをしけれ |
春の夜の 夢ほど儚い 腕枕。 噂がヤだから お借りしません! |
| 68 | 心にも あらで憂き世に 長らへば 恋しかるべき 夜半の月かな |
やむをえず、 つらい世を生き 続けたら、 恋しくなりそう。 今宵の月を。 |
| 69 | 嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり |
名の知れた もみじの山に 風が吹き ふもとの川で 錦織りなす |
| 70 | 寂しさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ |
寂しくて 庵から出て 見渡すと どこも寂しい 秋の夕暮れ |
| 71 | 夕されば 門田の稲葉 おとづれて 蘆のまろ屋に 秋風ぞ吹く |
夕べには 門前の稲も そよ吹きて 茅葺き小屋に 秋風が吹く |
| 72 | 音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ |
何股も かける人って 聞いてるよ。 だからスルーよ。 泣きたくないもん。 |
| 73 | 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ |
遥かなる 山の頂 桜咲く。 手前の山の 霞よ立つな。 |
| 74 | 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ 激しかれとは 祈らぬものを |
「なびいて」と 祈りはしたが、 山風の ように冷たく とは祈ってない! |
| 75 | 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり |
あれほどに、 「頼みにせよ」と おっしゃれど、 息子の任命 この秋も無く。。。 |
| 76 | わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波 |
海原に 漕ぎ出て遠く 目をやると 混じる空・海、 雲と白波。 |
| 77 | 瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ |
邪魔されて 別れた川が 一つへと 合わさるように また結ばれよう! |
| 78 | 淡路島 通ふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝覚めぬ 須磨の関守 |
淡路島を 通う千鳥の 鳴き声で 何夜目覚めた? 関所の人よ。 |
| 79 | 秋風に たなびく雲の たえ間より 漏れ出づる月の 影のさやけさ |
秋風で 横に流れる 雲間から 漏れさす月の 光の清さ |
| 80 | 長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは ものをこそ思へ |
「末長く 愛す」と言われ 「ほんとに?」と 乱れる心、 黒髪のよう。 |
| 81 | ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる |
ほととぎす 鳴いたと思って 目をやると 夜明けの月が ぽつりと空に。 |
| 82 | 思ひわび さても命は あるものを 憂きに堪へぬは 涙なりけり |
悩んでも なぜか命は こぼれずに つらさに耐えず 涙こぼれる |
| 83 | 世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる |
世を逃れ 修行しに来た 山奥も、 哀愁誘う 声で鹿鳴く。 |
| 84 | 長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき |
未来には また懐かしく 思うかな?! 苦悩の過去も 今は恋しい。 |
| 85 | 夜もすがら もの思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり |
一晩中 悩み、なかなか 夜は明けず、 ドアの隙間の 闇もつれない。 |
| 86 | 嘆けとて 月やはものを 思はする かこちがほなる わが涙かな |
「嘆け」とは 月は言わない。 言い訳さ。 泣くのは月の せいだと言いたい。 |
| 87 | 村雨の 露もまだ干ぬ 槇の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ |
通り雨で まだ乾かない 木々の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ。 |
| 88 | 難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ 身を尽くしてや 恋ひわたるべき |
旅先で 出会った彼と ワンナイト。 一心不乱な 恋が続くの? |
| 89 | 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする |
我が命、 無理なら絶えよ。 生き延びて、 この恋心 漏れると困る。 |
| 90 | 見せばやな 雄島の海人の 袖だにも 濡れにぞ濡れし 色は変はらず |
お見せしたい。 漁師でさえも 濡れるだけ。 私の袖は、 濡れて血色に。 |
| 91 | きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む |
コオロギが 鳴く晩秋に 霜おりて、 寒い寝床で 独り寝るのか。 |
| 92 | わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし |
恋に泣き、 袖も乾かぬ。 潮引けど 人に知られぬ 沖の石だね。 |
| 93 | 世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ 海人の小舟の 綱手かなしも |
世の中の 不変を願う。 今・昔、 漁師は舟で 網を引いてる。 |
| 94 | み吉野の 山の秋風 さ夜更けて ふるさと寒く 衣打つなり |
夜遅く 衣のつやを 出すために 砧を打つよ。 秋風の中。 |
| 95 | おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 |
人々を、 厚かましくも 救いたい。 比叡の山に 来たばかりだが。 |
| 96 | 花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり |
庭で散る 桜は雪が 「降る」でなく、 「古」のは我だ。 頭も白い。 |
| 97 | 来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩の 身もこがれつつ |
来ぬ人を 待つ夕暮れに 身を焦がし。 松帆の浦の 藻塩焼くよう。 |
| 98 | 風そよぐ 楢の小川の 夕暮は 御禊ぞ夏の しるしなりける |
葉が風に そよぐ夕暮れ 秋めいて、 夏越しの祓え だけがまだ夏。 |
| 99 | 人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに もの思ふ身は |
人のことを 思うにつれて 愛しくも 恨めしくもある つらい立場だ |
| 100 | 百敷や 古き軒端の しのぶにも なほ余りある 昔なりけり |
宮中の 草に衰微を 見るにつけ、 偲んでやまない 聖帝の御代。 |
※詳細解説ページは、完成した歌から順次リンクを追加していきます。
