茶掛の禅語【8月】雲収山嶽青

夏は帰省して、山を見る人が増える季節だと思います♪

そんな8月にぴったりの禅語です。

なお、茶掛(ちゃがけ)とは、茶席に掛ける書画の掛物です。

元の語/振り仮名・送り仮名と返り点を追加/書き下し文

口語訳

雲がなくなり晴れると高く険しい山々が青々としているのが見える。

 

31音口語訳

煩悩の
雲が消えたら
青々と
山はそびえる
悟りの境地

 

禅語を味わう

有馬賴底著『必携 茶席の禅語ハンドブック』より、解説部分を引用させていただきます。

「日出乾坤輝、雲収山嶽青」(日出(い)でて乾坤(けんこん)輝き、雲収(おさ)まって山嶽(さんがく)青し)と対句です。太陽が昇ると、乾坤、すなわち天地、世界、世の中が明るく輝き、山にかかっていた雲が晴れると、その下から青々とした山があらわれてくる、という大変美しい状況です。
この句も、「雲出洞中明」と同じような意味と理解してよいでしょう。

では禅語「雲出洞中明」はどのような意味でしょう。
同じく引用します。

雲出洞中明(くもいでて どうちゅうあきらかなり)
「雪消山骨露、雲出洞中明」(雪消えて山骨(さんこつ)(あらわ)れ、雲出でて洞中(どうちゅう)明らかなり)と対句です。春になって雪が消えると山肌があらわになり、雲が晴れると暗かった洞中にさっと光がさし込んで明るくなるという意味です。この「雪」「雲」は、私たちの心の暗黒、煩悩(ぼんのう)にほかなりません。それがすべてとり払われれば、その下から本来の自己、仏性(ぶっしょう)があらてくるのです。

茶道の先生も「雲は煩悩、山は仏性」だと仰っていました。

さて、「仏性(ぶっしょう)」って言葉も仏教用語で難しいですね。

いろんな辞書で調べると「人間に生来そなわっている仏になれる素質。」だそうです。
「大乗仏教ではすべてのものにそれがそなわっているとする。ただし、その理解の仕方は諸宗により異なる。」という補足も見かけました。

では「仏になる」ってどういうこと?っていうと、
「仏教で、完全な悟りを開いた聖者」だそうです。

つまり、煩悩を取り払うことで悟りを開くことができるってことですね!

自分が抱えている煩悩って何だろう?と振り返るキッカケになる禅語ですね。

 

また、先生は「山は変わらないものの象徴」と仰っていました。

有名な漢詩(杜甫の春望)でも「国破れて山河在り」と、
変わらないものの象徴のように詠んでいますね。

武田信玄の風林火山の旗印の1つ「動かざること山のごとし」も、
その象徴だと感じました☆

 

なお、雲収山嶽青の出典は『禅林類聚』だそうです。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

今日も一日、あなたがイキイキと生きられることをお祈り申し上げます✨

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です