『万葉集』赤駒を山野にはがし捕りかにて多摩の横山徒歩ゆか遣らむ 宇遅部黒女

東京に住んでいる人へ贈りたい歌

武蔵国豊島郡の女性が詠みました。

赤駒あかごま
山野やまのにはがし
捕りかにて
多摩たま横山よこやま
徒歩かしゆか

 宇遅部黒女うじべのくろめ

現代語訳

赤毛の馬を山野に放牧し、捕まえかねて(しまい)、(愛しい夫に)多摩の横山を徒歩で行かせる(しかない)のだろうか。

古典文法・古文単語解説

赤駒
赤毛の馬。

はがす
「はなつ(放つ)」の上代東国方言で、放牧するの意か。

かにて
 動詞「かねる(兼ねる)」に接続助詞「て」の付いた「かねて」の上代東国方言。できなくて。

訳うた

赤馬を
逃がしてしまい
多摩の山を
夫に徒歩で
行かせてしまう

和歌を味わう

『万葉集』第ニ十巻、4417番の歌。

防人となって、筑紫国へと向かう夫を送る女性の歌です。
武蔵国豊島郡の方で、この古代の豊島郡は現在の台東・荒川・北・板橋・豊島・文京・新宿各区と渋谷・港・千代田各区の一部を含む広大な地域でした。
つまり現在の東京23区のおおよそ北半分です。
「多摩の横山」は今の多摩丘陵を指します。

 
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

今日も一日、あなたがイキイキと生きられることをお祈り申し上げます✨

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