登場した和歌を31音口語訳 ~大河ドラマ 光る君へを楽しもう♪~
目次
第7回 おかしきことこそ
下の第6回にあります「ちはやぶる~」の歌のラブレターを、まひろが燃やしていましたね(切ない)。
第6回 二人の才女
最初の方に、源倫子(ともこ)様サロンで藤原道綱母の和歌が話題に上がりました。
藤原道綱は上地雄輔さんが演じていますね。
道綱母は『蜻蛉日記』の作者で、段田安則さん演じる兼家の、正妻ではない妻です(財前直見さんが演じています)。
さて、話題に上がった歌は百人一首の53番の歌です。
嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る(右大将道綱母)
ひとり寝る夜の
明くる間は
いかに久しき
ものとかは知る
あなたを待って
嘆いてる
夜の長さを
わかってますか?
意訳:繰り返し嘆いて、独りで寝る夜の明けるまでの時間がどんなに長いものであるか、ご存じでしょうか。ご存じないでしょうね。
最後に登場した、道長がまひろに送ったラブレター。
『伊勢物語』の有名な歌の四句目(元は”大宮人の”)を変えたの歌でした。
ちはやぶる神の斎垣も越えぬべし 恋しき人の見まくほしさに
神の斎垣も
越えぬべし
恋しき人の
見まくほしさに
垣根も越えて
しまいそう。
愛しい君に
会いたいあまり。
意訳:(越えてはいけない)神域の垣根も踏み越えてしまいそうです。恋しいあなたにお会いしたいあまりに。
第4回 五節の舞姫
第4回は和歌が登場しなかったので、代わりにタイトルの「五節の舞姫」に関する和歌をご紹介します♪
百人一首の12番、僧正遍昭の歌です。
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ
雲の通ひ路(ぢ)
吹きとぢよ
乙女の姿
しばしとどめむ
道を閉ざせよ。
舞姫の
天女を空に
帰らせないよう。
意訳:大空の風よ、(天女が帰っていく)雲の中の通路を(雲を吹き寄せて)閉ざしておくれ。(美しい)天女の姿を、もうしばらく(この地に)留めておこう。
第3回 謎の男
まひろが参加した源倫子(左大臣の娘)のサロンにて、ある姫君が自作のふりをして朗詠し、たしなめられた古今和歌集の歌。(詠み人知らず)
見てもまたまたも見まくの欲しければ 馴るるを人はいとふべらなり
またも見まくの
欲(ほ)しければ
馴るるを人は
いとふべらなり
逢いたい気持ち、
なくさぬよう、
馴れないように
してるんだよね?!
意訳:(馴れ親しむ前であれば)逢ってもまた、再度逢いたいと思う(のが人の性(さが)な)ので、逢瀬を重ねすぎて馴れ親しみ過ぎることを、あの人は嫌だと思って(逢うのを)避けているようだ。(そういう理由で逢ってくれないだけだと信じたい。私に愛想をつかしたのではなく…)
古典文法・古文単語解説
見る
男女の関係を持つ。逢(あ)う。
見まく欲(ほ)し
逢いたいと思う。見たいと思う。
※「見る」の未然形「み」+推量の助動詞「む」の古い未然形「ま」+接尾語「く」+形容詞「欲(ほ)し」
※見まく「の」欲し「けれ」は、「の」は調子を整えるためのもの(対象「~を」ととらえてもよい)、「けれ」は形容詞の活用語尾の一部(已然形)
(欲しけれ)ば
「已然形+ば」で順接の確定条件(原因・理由)。
~ので・~から
馴る
馴れ親しむ。
※「馴るる」は連体形。準体法で「こと」が省略されている。
人
あの人。
※「引き歌」で使われる状況によっては「あなた」の意。
いとふ(厭ふ)
嫌がる。嫌だと思って避ける。
べらなり
推量の助動詞。
~ようだ。
※平安初期に漢文を読み下した文章に現れ、男性の用いる口語として平安末期まで存在した。一方で、歌語として延喜年間に多用され、「古今集」「後撰集」などに多くの例が見られる。
上記の歌を初句が同じ歌が『源氏物語』の「若紫」にあります♪
ひょっとすると、これを匂わせようとして登場させているのかな?!と思いましたので、こちらの歌もご紹介します!
見てもまた逢ふ夜まれなる夢のうちに やがてまぎるるわが身ともがな
逢ふ夜まれなる
夢のうちに
やがてまぎるる
わが身ともがな
夢かと思う
レアな今。
このまま消えて
したいたいなあ。
背景:光源氏が継母にあたる藤壺との逢瀬を叶えた際に、藤壺に向けて詠んだ歌。
意訳:お逢いできても、再び逢える夜はめったに無いようなこの夢の(ような逢瀬の)中で、このまま(このどさくさに)紛れて私の身は消えてしまいものです。
赤染衛門(あかぞめえもん)が暗唱した古今和歌集にある小野小町の歌。
※赤染衛門は『栄花物語』の作者かと言われています。
『栄花物語』は『大鏡』と比べて藤原道長を褒めたたえて書かれています☆
秋の夜も名のみなりけり逢ふといへば ことぞともなく明けぬるものを
名のみなりけり
逢ふといへば
ことぞともなく
明けぬるものを
長いはないね。
十分に
愛を語れず
夜が明けるもの。
意訳:(長いといわれる)秋の夜も、名ばかりだなあ。愛する人との逢瀬では、(満足するほど)言葉を言い交すまえに、夜が明けてしまうのにねえ。(どこが長いのよ。短いわ。)