上皇后陛下の御歌(和歌)おほかたの枯葉は枝に残りつつ 今日まんさくの花ひとつ咲く

上皇后陛下の御心がよく伝わる御歌(みうた)をご紹介します。
平成二十三年歌会始の歌です。

おほかたの
枯葉は枝に
残りつつ
今日まんさくの
花ひとつ咲く

現代語訳

ほどんどの枯葉は(花になる芽を守るように)枝に残ったまま、今日、(春の訪れを告げる)マンサクの花がひとつ咲いたよ。

古典文法・古文単語解説

おほかた
ここでは現代語と同じ、「大部分」の意味です。
※受験生は、古文で「おほかた」が打消しを伴う際に「全く~ない」になることに注意しましょう。「ほとんど~ない」ではありませんよ。

つつ
ここでは継続の「~ままで」。
※古文では「反復」の意味が重要です。

マンサクの花とは

早春(今の2~3月)に、黄色で細い四弁の花を開きます。
なんと、緑の葉っぱが生えるより先に、花が咲くんです。
珍しいですよね!

こんな風に、枯れた葉っぱと黄色の花になるんです。

樹高は3~10メートルほどだそうです。高い!

 

 

 

実はこんな感じだそうです。

 

 

 

 

 

「マンサク」は「万作」「満作」とも表記されます。
「満作」といえば、「豊年満作」という言葉は農作物が豊かにみのり、収穫が非常に多いことを指します。
マンサクの花がたくさん咲くと豊作になるという迷信があったそうです。

花名の由来としては、開花の時期が早いことから「まず咲く」「真っ先」などが変化したという説もあります。

ちなみに、個人的に秋田の地酒「まんさくの花」が美味しくて大好きです。
秋田料理屋さんなどで見かけたら、ぜひ飲んでみてください☆

31音(おん)口語訳

枯葉らが
芽をまもりつつ
冬を越え
春を知らせる
まんさくの花。

和歌を味わう

『御即位30年・御成婚60年記念特別展 御製・御歌でたどる両陛下の30年』(宮内庁三の丸尚蔵館)に解説がありましたので、引用させていただきます。

春に咲く花芽を守るように、枯葉を枝に残したまま冬を越したまんさくの木に、早春、初めての黄色いひと花が咲いたのをご覧になった時の喜びをお詠みになった御歌。

枯葉が残っているのを見て、普通の人は「残ってるな」としか思わないはずです。

「花芽を守るように」と、花―枯葉の関係を
子―親か、
姫―ナイト(騎士)かのように、
庇護される者―庇護する者の関係で捉える、
温かな想像力に脱帽です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

今日も一日、あなたがイキイキと生きられることをお祈り申し上げます✨

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