和歌の活動 奮闘日記2024年9月
目次
9/21言葉の特徴
言葉の教育をするにあたって、
言葉に対する重要な前提知識があります。
それは、言葉は「1単語=1つのもの」ではないということです。
英単語を覚えるときは「tableはテーブル」という風に一問一答形式で丸暗記していった人も多いと思います。
しかし、言葉は
①範囲がある
②用法がある
③多義であることが多い
という特徴があります。
※私が独自にとらえた特徴なので、もっと適切な表現や漏れがあると思います。
①範囲がある
子どもは「ワンワン」という言葉を知ると、
似たような動物を幅広く「ワンワン」だと思います。
しかし、キツネやヒツジなど、似てるけれども違う動物を知ることで、「範囲」を理解していきます。
うちの息子の例だと、「目がしびれる」なんて表現していました。
「目がかゆい」ときに、
正座して脚がしびれた時の感覚を思い出して、類推して使ったようでです。
「かゆい」「いたい」「しびれる」などの違いを把握するのって難しいようですね。
②用法がある
娘は学童の時間に将棋を教わる機会があるのですが、
「将棋を指す」ではなく、
「将棋をする」と言ってしまいます。
また、旅行の前夜に私が仕事をしはじめようとしたら、
「寝る時間をあんまりとらないようにね」と言われました。
「睡眠時間をあんまり削らないようにね」という意味でした。
専門用語で「コロケーション」と言われるものです。
(現代文や英作文の指導で他の講師が言っていた用語でした。)
(参考)コロケーション:文や句における、二つ以上の単語の慣用的なつながり方。
③多義であることが多い
目に見える物理的、具体的なものと、
目に見えない精神的、抽象的なものの両方の意味を持つことも多いです。
例えば「姿勢」という名詞。
目に見える「姿勢」は、「身体の向きや、背筋・手足などの曲げ伸ばしによって作る、身体の形。」
目に見えない「姿勢」は、「物事に対する態度、心構え」。
例えば「蹴る」という動詞。
目に見える「蹴る」は、「勢いをつけて足で物を突く。」や「〈地面/ゆか〉を強く踏んで、弾みをつける。」
目に見えない「蹴る」は、「要求や申し入れを断る。」
このように言葉は多義であることが多いのだと自覚すること、
状況に応じて、どの意味の言葉として使われているかを判断する力が必要です。
私は小学生の頃に、「あれっ?いま先生が言った言葉、私が知っている意味とは違う意味で言ってそう・・・それを理解してそうな人と、理解していなさそうな人がいる」と感じたことがありました。
(当時は言葉には複数の意味があることが多いっていう意識がなくて、調べようという発想もありませんでした💦)
こういった言葉の特徴を踏まえて、どうやったら言葉の力を育むことができるのかは、また今度。(次回に続く)
9/20 抽象語の壁
「小3の壁」って知っていますか?
(「9歳の壁」や「10歳の壁」とも言われます。)
小学校の授業で抽象的な概念の言葉が増えてきて、
ついていけない子が増やすい学年だそうです。
例えば、小3の算数では「割り算」「分数」など、
小3の国語では「界」「様」「部」などの漢字、
小3の理科では「風やゴムの働き」「電気の通り道」など、
抽象的な語の理解が求められます。
大人からすれば、既に理解済みの語彙であることが多いので、その難しさがわかりづらいと思います。
そこで例として、「前(まえ)」「先(さき)」という語に注目してみましょう。
幼児期には既に出会っている語だと思いますが、
小学校低学年の子には難しい言葉です。
「3日前」は「前」なのに過去(過ぎ去った後ろ)。
「先日」は過去だけど、
「先送り」は未来に送ること。
あべこべな印象を受けますよね。
(余談ですが、先日主人と秋雨前線の話になり、「低気圧」が「上昇気流」っていう説明聞いて、改めて「低」「上」がセットになっているのは直感に反して気持ち悪いなって感じました)
理解が難しい抽象的な語をどうやって理解していくのか・・・その話の前に、
言葉に対する重要な前提知識をご紹介した方が良いと思っています。
それはまた明日。(次回に続く)
9/18 語彙力おばけ
突然ですが、我が子たちをいわゆる「語彙力おばけ」に育て上げたいという願望を頂いています。
「語彙力おばけ」とは、異様に語彙力が高い人のことです。
灘・東大卒芸人である「あかもん」の澤井さんのYouTubeを見ているときに「語彙力おばけ」っていうキーワードと出会い、ものすごく心惹かれました!
「言葉と定義」へのこだわり
皆さんはどのくらいの頻度で辞典を引きますか?
私は1週間に数回は辞書アプリで国語辞典を引いています。
マンガや本を読んでいて知らない語と出会ったときや、人との会話で使い方(定義・用法)に疑問を抱いたときなんかに引いています。
(ちなみに辞書アプリの物書堂はめちゃめちゃオススメです。ある語を検索したら、複数の辞書での該当ページにパッとジャンプできるんです。
古語辞典や漢和辞典など色々買い足して11もの辞書を入れています。国語辞典以外を含めたら、ほぼ毎日使っています♪)
私が言葉の定義を曖昧にせずに時点で確認しようと思ったのは、弟の影響です。
現役で東大理系に進学した弟が、会話中に辞書アプリで確認したり、
辞典それぞれの特長と嬉々として語ってくれたりして、衝撃を受けました。
私よりもずっと勉強しまくって語彙力がありそうで、
しかも理系なのに、いまだに辞典で調べるのを積み重ねてるんだ…と、
「言葉と定義」へのこだわりに脱帽しました。
私自身は中学時代に氷室冴子さんのコバルト文庫にはまって、
その世界観を余すところなく理解したい!と思って、
家にあった紙の辞書を引きまくっていました。
(小説1ページに数語の頻度だった気がします。今思えばよくそんな面倒な努力を続けたなと感心します。
惚れ込んだ「推し」への愛ゆえだったので、苦に思いませんでした)
そういう時期にいっきに語彙力が増した記憶があります。
いまも週にいくつか新しい語と出会えていて楽しいです。
「語彙力おばけ」のメリット
語彙力が豊富になることのメリットって何だと思いますか?
私は一番は「自分の気持ちを言語化しやすくなる」かなと思っています。
もやもやした感情の処理を手伝ってくれる言葉があると、スッキリしますよね。
例えば「あの人、”坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い”になってるなあ」とか、
「”巧遅は拙速に如かず”だから、とりあえず提出しちゃおう!」とか。
(参考)坊主(ぼうず)憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い・・・その人を憎むあまりに、その人に関係のある事物すべてを憎むことのたとえ。
巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に如かず・・・上手だが遅いよりも、下手だが速い方がよい。
慣用句とか四字熟語とかは昔から大好きです。
「こういう状況で困るのは私だけじゃなくて、昔から人間はそういうもんなんだな」と思うと、気持ちが楽になります。
活きる知恵の塊だなって感謝しています。
最近は子供たちに「”仏の顔も三度まで”だよ」と言って、
同じことを注意されないように意識づけしていますw
「語彙力おばけ」は言葉の本だけじゃ厳しい
子どもが乳幼児のころは、『こども ことば絵じてん』(三省堂)を使って、語彙を増やせるように工夫してきました。
上の子が小学1年生となって導入したのは
『小学生の語彙力アップカード1000』(学研)と、
『マンガでわかる! 10才までに覚えたい言葉1000』。
でも、小学校以上になると「絵」だけでは説明できない抽象的な言葉が多く、伝えるのが難しい💦
「うーん、どう教えよう…。」と悩む語がいっぱいです。
「たぬき寝入り」は実演したら、子どもらが真似してツッコんで大笑いしを繰り返して、すぐに定着したけどw
我が家では寝る前に絵本やマンガの読み聞かせをしているので、
その中で知らなさそうな言葉は意味を説明しています。
でも、これじゃあ追いつかないだろうなあと不安感を抱いています。
私が大好きなYouTube番組「ゆる言語学ラジオ」によくゲスト出演されている今井むつみ先生のご著書『親子で育てる ことば力と思考力』を読んで、その不安感が増しました。
乳児期のママさんは子どもの発話に不安感を抱きがちですが、
小学生に上がる頃になると、「日常会話もこんなにできるようになった」と思って安心してしまうそうです。
でも、学校教育の中で必要とされる語彙は、日常生活の語彙をはるかに超えるのです。
具体的には学校教育の中でどう困るのか、そしてそれが「和歌」とどう関わるのかは、長くなったのでまた今度。(次回に続く)
9/17 思いを綴りはじめます
時間ができた
約3~4年間、月に100時間以上かけて大学受験の古文・漢文の研究・資料作り・映像授業作りに集中してきました。
(かなりの教材マニアになって、古文単語帳だけで30冊以上入手して分析しました☆彡)
古文漢文だけにこんなにも時間を使わせてもらえるなんて、本当にありがたい限りです。
いろんな生徒さんへの集団授業や個別指導の機会もちょうだいして、受験生たちがどんなところにつまずくかもわかってきました。
おかげさまで授業準備の時間も短縮されて、自由な時間を得られるようになってきました。
そこで、やっと本格的に和歌の活動ができるので、「何をしようか。。。」と検討しています。
「恩送り」のボランティア
実は2つほど既に行っているボランティア活動があります。
1つ目は、東京都世田谷区での子ども短歌教室♪
元小学校教師の友人が主催していて、ママ友さん達にもお誘いして娘の友人たちに参加してもらったところ、大好評でした!
2つ目は、とある公立小学校での「古典であそぼう」プログラム♪
坊主めくりやカルタ遊び、日本昔ばなしの紙芝居読み聞かせなど。
今後は一緒に短歌を詠んでいく予定です。
(既存のプログラムは将棋やけん玉、工作などです。学童の室長や区の担当者に申し出たら、大変喜ばれました。子どもたちも喜んでくれました)
なぜこういったボランティアしたかというと、私自身が小学生の時に地域のボランティアの方に競技カルタを教わっており、大変感謝しているからです。
3人対3人の「源平合戦」というものの試合に出ていて、敢闘賞をもらえました。
「恩返し」ならぬ「恩送り」をしたいと思って、ボランティアを始めさせていただきました。
さて、子供たちへの直接の教育の機会もいただいたのですが、もっと多くの方に「和歌」に親しみをもってもらいたいなと思っております。
その方向性の案としては・・・(次回に続く)