令和8年(2026年)宮中歌会始 御製・御歌について

令和8年(2026年)宮中歌会始、お題は「明」です。
「明」に関する過去の御製などのご紹介ページもこちらにあります。

御製(ぎょせい/天皇陛下の御歌)天空にかがやく明星眺めつつ新たなる年の平安祈る

天空てんくう
かがやく明星みょうじょう
ながめつつ
あらたなるとし
平安祈へいあんいの

背景の解説 

宮内庁より

 天皇陛下には、元日の夜明け前から、皇居の賢所で行われる四方拝、歳旦祭などの神事に臨まれます。この御製は、その歳旦祭の折に、賢所の回廊から澄んだ冬の空にひときわ輝く明けの明星(金星)をご覧になり、その美しさに感じ入られるとともに、新たな年の平安を祈られた時のお気持ちをお詠みになったものです。

※冒頭の「~には」は、敬意を込めた表現です。
「~におかれましては」の意味で捉えるとわかりやすいです。

 

四方拝(しほうはい)と歳旦祭(さいたんはい)

どちらも1月1日に行われる宮中祭祀です。

四方拝(しほうはい):早朝に天皇陛下が神嘉殿南庭で伊勢の神宮、山陵および四方の神々をご遙拝になる年中最初の行事
歳旦祭(さいたんさい): 早朝に三殿で行われる年始の祭典

(参考)宮内庁HP「主要祭儀一覧」

なんと、四方拝は午前5:30に、歳旦祭は午前5:40に行われます。
(参考)宮内庁HP「1月1日行事一覧」

この日の東京の日の出は6:50頃で、
この日の東京の最低気温は3.8度でした。(例年よりは少しあたたかめ)

夜明前の寒い中に庭に出て、国民の幸せを祈って下さっています。

 

和歌を味わう

伝わりやすい言葉で

「明星」は古語では「あかぼし」と読みますが、歌会始にて「みょうじょう」と披講(ひこう。詩歌などの会で、詩歌を読み上げること。)されました。
今上陛下は国民に伝わりやすい現代語で詠まれることが多いので、敢えて「みょうじょう」になさったのだと思います。

(参考までに、「あかぼし」と読む和歌)
めづらしな朝倉山の雲居より慕ひ出でたる明星の影 西行『山家集』
訳:珍しいことだなあ。朝倉山の雲の間から(神楽歌の「明星」の曲に誘われるように)惹かれて出て来た明けの明星の光だよ。

 

天空(てんくう)

「大空に」ではなく「天空に」とお詠みになっているのは「天」を意識なさっているように感じます。

明治天皇の御製に「あさみどり澄みわたりたる大空の広きをおのが心ともがな(訳や解説はこちら)」などの歌があるように、これまでは大空と詠むほうが一般的でした。
それを敢えて「天空に」とお詠みになっています。

四方拝、歳旦祭で天に祈るお気持ちでいらっしゃったからこそだと拝察いたします。

ちなみに一般国民は「天空(てんくう)」と聞けば、「天空の城ラピュタ」を想起する人も多いと思います。
(パズーの気持ちになったら、「かがやく明星」はラピュタと飛行石ですね。次に「天空の城ラピュタ」を観るときにはこの御製を思い出しそうです♪)

 

平安祈る

「平安」は平穏で無事であること。
「安寧(あんねい)」「安泰(あんたい)」とも言いますが、より伝わりやすい語を選んでおられます。

末語の「祈る」ですが、歴代天皇の皆さまは国民の平安を祈ってこられました。

例えば明治天皇も「とこしへに民やすかれと祈るなるわがよを守れ伊勢の大神」とあります。
(意訳:永遠に国民が安らかに暮らせるように祈っています。どうか我が世を守りたまへ。天照大御神よ。)

伊勢の神宮で祀られている皇祖である天照大御神に対して、祈りを捧げているのです。

 

歳旦祭の歌

上皇后陛下(当時は皇后陛下)が平成19年の歌会始にてお詠みになった歌に、「歳旦祭」という言葉が入っています。

「年ごとに月のりどを確かむる歳旦祭さいたんさいに君を送りて」
意訳:毎年、月がどこにあるかを確かめています。歳旦祭に(向かわれる)あなた様をお見送りして。

夜明け前に祭祀をなさる天皇陛下を気に掛けていらっしゃるお気持ちが伝わります。

暗くて寒い中、澄んだ空から照らしてくれる月や光の輝きに、人は心惹かれるのでしょう。

なお、上皇陛下の御製にも、歳旦祭での御歌がございます。
明け初むる賢所の庭の面は雪積む中にかがり火赤し」(訳と解説はこちら)。

 

皇后陛下御歌(みうた)メダル掛け笑顔明るき選手らに手話で伝へる祝ひのことば

メダル
顔明がおあかるき
選手せんしゅらに
しゅつた
いわのことば

背景の解説 宮内庁より

 天皇皇后両陛下並びに愛子内親王殿下には、昨年十一月に日本で初開催となった、第二十五回夏季デフリンピック競技大会の水泳競技をご観戦になりました。初めてとなる競技観戦に先立ち、お三方には、聴覚に障害のある選手や関係者の方々と少しでも直接お話しができればと思われ、日本語の手話と国際手話の挨拶などを学ばれました。また、当日のご観戦の折に、ご説明者の方から、「おめでとう」という手話を教えていただかれました。皇后陛下には、デフアスリートの皆さんが力を尽くして競技に臨む姿や、競技後にお会いになったメダリストの皆さんの明るい笑顔が深く印象に残られました。その折に、学ばれた手話で「おめでとう」などのメッセージを選手の皆さんにお伝えになり、直接会話がおできになったことを心からうれしくお思いになりました。
 皇后陛下には、このご経験を通して、障害のある方々に対する社会の理解と協力が更に広がり、障害の有無にかかわらず、お互いを尊重し、協力し合う共生社会が形作られていくことへのより一層の願いを込められて、この御歌をお詠みになりました。

和歌を味わう

手話

デフオリンピックでのことを詠んでくださったことを、大変ありがたく感じます。

社会的な弱者にあたる方々への理解と協力を広げようとしてくださっています。

選手の皆さんは手話でお祝いを伝えられ、本当に嬉しかったことでしょう。

 

リンク

※準備中

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