君がため春の野に出でて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ(光孝天皇)

百人一首15番
きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
決まり字:きみがためは

君がため
春の野に出でて
若菜摘む
わが衣手に
雪は降りつつ
訳うた:君のため
    邪気を祓える
    春の菜を
    雪降り続く
    野で摘んでいる

現代語訳

あなたの(邪気祓いの)ために、
春の野原に出かけて
若菜を摘む
私の袖に
雪は絶え間なく降りかかっている。

古典文法・古文単語解説

  • 君がため
    あなたのために。「が」は連体助詞。
  • 若菜
    春先に芽を出す食用の草。若菜を摘むことには、邪気を払い長寿を願う意味があった。
  • 衣手
    衣服の袖。
  • 雪は降りつつ
    「つつ」は、動作が続いていることを表す。雪が降り続いている、という意味。

作者・光孝天皇について

光孝天皇は、第58代天皇です。即位前から和歌や音楽に親しみ、文化を大切にした人物として知られています。

春の若菜を摘むという宮廷の行事を題材に、相手の健康と幸せを願う心を詠んだ歌です。春の明るさと、袖に降る雪の冷たさが同時に描かれています。

和歌を味わう

寒さの中でも、誰かのためなら頑張れると思ったことはありますか?

春の野に出て若菜を摘むのは、春の生命力を取り入れ、邪気を払って健康を願うための行いでした。作者は、相手のために若菜を摘んでいます。

その日は春なのに雪が降っています。袖に雪が積もるほどの寒さの中でも、若菜を摘むことをやめません。「君がため」という最初の言葉が、歌全体を包む願いになっています。

春の野の緑と、降り続く雪の白さ。明るい季節の気配と、肌に感じる寒さが一緒に描かれることで、相手を思う気持ちの温かさがいっそう際立ちます。

訳うたでは、若菜を「邪気を祓える春の菜」と説明しています。
雪の中で摘む若菜には、相手の健康を願う心が込められています。

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