百敷や古き軒端のしのぶにも なほ余りある昔なりけり(順徳院)
百人一首100番
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なほあまりある むかしなりけり
決まり字:もも
百敷や
古き軒端の
しのぶにも
なほ余りある
昔なりけり
古き軒端の
しのぶにも
なほ余りある
昔なりけり
訳うた:宮中の
草に衰微を
見るにつけ、
偲んでやまない
聖帝の御代。
草に衰微を
見るにつけ、
偲んでやまない
聖帝の御代。
現代語訳
宮中の、
古びた軒端に生えた
忍ぶ草を見るといつも(思い出すのは)、いくら偲んでも、
やはり偲びきれない
昔のことだなあ。

古典文法・古文単語解説
- 百敷
宮中・内裏を指す語。「や」は詠嘆の間投助詞。 - 軒端
軒の端。ここでは古びた宮中の建物を示します。 - しのぶ
昔を偲ぶことと、軒に生える忍ぶ草の掛詞。 - なほ余りある
なお偲びきれないほどである。 - 昔なりけり
昔であることだなあ。「けり」は詠嘆。
作者・順徳院について
順徳院は第84代天皇で、承久の乱後に佐渡へ流されました。
和歌に優れ、歌論書『八雲御抄』も著しています。
この歌は『続後撰和歌集』所収。古びた宮中の軒端に生える忍ぶ草を見て、偲んでも尽きない昔の宮廷を思います。
和歌を味わう
和歌のソムリエ
古びた場所に立つと、かつての姿が浮かんでくることはある?
宮中の古びた軒端には、忍ぶ草が生えています。その草を目にすると、かつての宮廷の姿が思い出される。しかし、どれだけ偲んでも思いは尽きません。
「昔」とは延喜・天暦の治といわれる醍醐天皇・村上天皇の治世のことを指していると言われています。
「しのぶ」には、過去を懐かしむことと、軒端に生える忍ぶ草の二つの意味があります。草を見た瞬間に、草そのものと失われた時代への思いが重なります。百首の最後に置かれたことで、王朝の昔を惜しむ余韻が全体を閉じています。
語呂とイラストで覚える
※語呂とイラストは歌の意味とは無関係です。
関連リンク
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- 時とともに色あせる花と身を詠む歌:9番「花の色は移りにけりないたづらに」小野小町
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