人も惜し人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆゑにもの思ふ身は(後鳥羽院)
百人一首99番
ひともをし ひともうらめし あぢきなく よをおもふゆゑに ものおもふみは
決まり字:ひとも
人も惜し
人も恨めし
あぢきなく
世を思ふゆゑに
もの思ふ身は
人も恨めし
あぢきなく
世を思ふゆゑに
もの思ふ身は
訳うた:人のことを
思うにつれて
愛しくも
恨めしくもある
つらい立場だ
思うにつれて
愛しくも
恨めしくもある
つらい立場だ
現代語訳
人が愛おしくも、
(また)人を恨めしくも(思われる)。
思い通りにならない
この世を思うせいで、
あれこれ物思いをしているこの身には。

古典文法・古文単語解説
- 惜し
「愛し」と書き、いとしい・愛おしいという意味。 - 恨めし
恨めしい、憎らしく思う。前句と対照をなします。 - あぢきなく
思い通りにならず、無益でつまらないこと。 - 世を思ふゆゑに
世間・天下を思いわずらうために。「ゆゑに」は理由。 - もの思ふ身は
あれこれ思い悩むこの身は。「は」で主題を提示します。
作者・後鳥羽院について
後鳥羽院は第82代天皇で、退位後も院政を行い、和歌を深く愛しました。
新古今和歌集の編纂を命じた院でもあります。
この歌は『続後撰和歌集』所収。人を愛おしくも恨めしくも感じる心を、思い通りにならない世への思いとともに詠んでいます。
和歌を味わう
和歌のソムリエ
同じ人を、愛おしくも恨めしくも感じることはある?
人を愛おしく思う心と、恨めしく思う心が並びます。
初句と第二句目の「人」は同一人物という解釈も、別人であるという解釈もあります。
鎌倉幕府との政治的な関係を背景に読むこともできますが、人への愛惜と恨みが交錯する心としても味わえます。
「あぢきなく」は、世の中を思い通りにならないものと感じる言葉です。
人への愛憎を個人的な感情だけに閉じず、世の動きに心を悩ませる自分のあり方へつなげています。
語呂とイラストで覚える
※語呂とイラストは歌の意味とは無関係です。
関連リンク
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